ボランティアは、古典的な定義においては自発性、無償性、利他性に基づく活動とされてきた。しかし近年ではこうした定義への再検討が加えられている。まず無償性に関しては、有償ボランティアという存在が出現し受け入れられていることで、ボランティアの定義から外れつつある。

ボランティアの新たな概念

一方、先駆性、補完性、自己実現性といった新たな概念がボランティア活動の特徴として指摘されるようになっている。先駆性とは、ボランティア活動が既存の社会システム中に存在しない役割を担うことが多いということから指摘されるもので、こうした先駆性を持つ存在をチェンジエージェントと呼ぶ。ボランティア分野のチェンジエージェントとしてティーチ・フォー・アメリカなどが挙げられる。補完性とは、既存の行政システムでは対応しきれないニーズを満たす性質のことである。自己実現性とは、ボランティア活動がそれに参加する個人の自己実現の場の役割を果たす性質に注目した概念である。

日本でのボランティアの使われ方

動員・勧誘・強制を受けての活動への参加は本人の純粋な自由意志に基づかないのでボランティアとは言えないが、日本では奉仕活動の同義語、無償労働の意でボランティアという語を用いる場合もある。

学校教育現場のボランティア

ボランティアに取り組むことで自己成長の可能性が高められるなど、人生を充実する活動の一つでもある。高校生の交換留学などはもともとはボランティアによるものである。
ただ、高校受験などに際してボランティア活動を行ったことでその経験が調査書に記載されていると評価点を高くする学校もあり、入学試験に合格しやすくなる場合がある。このために、受験での利益を第一目的としてボランティア体験をする学生が出ている。同様のことが高等学校の課程においても懸念されている。高等学校の場合、上級学校への進学や就職における自己アピールの材料として使われるなど、卒業後の進路内定という「対価」を得るための手段とされる傾向がある。大学など高等教育の課程においても、ボランティアが就職活動でのアピールや単位取得の手段として使われることもある。

• プチボランティア
  地域の社会活動の一環として、海岸や河川のゴミ拾いなど、短時間で終わるボランティア。
• 福祉ボランティア
  障害を持つ人や、お年寄り、子ども、シングルマザー、生活に困窮する家庭、ホームレス、外国人など、弱い立場に置かれている人の生活上の課題を支援することを指します。
• 環境ボランティア
  気候変動、自然破壊、大気汚染、土壌汚染、砂漠化など、地球規模の問題に国の利害を超えて取り組むボランティア活動です。
• 国際協力NGO
  国際協力NGOは、災害や貧困、自然破壊など、途上国の抱える課題の解決に民間の力で取り組む団体です。物資の支援から、医療や教育支援など現地での活動、現地で活動を行わずに、アドボカシー活動を行う団体も国際協力NGOとしてカテゴライズされます。
  (NGO=Non Goverment Organization　非政府組織）
• 学生ボランティア
  高校生～大学生など学生時代はボランティア適齢期。ボランティア活動に最も活発に参加している年代が大学生です。趣味や特技が生かせたり、関心のある分野のテーマを深めたり、大学生にとってボランティアにはさまざまな可能性があります。また、最近では就職試験の面接時に試験管が、ボランティア活動履歴の有無を問う場合もあり、就職活動を有利に進めたいと言う心理から、大学生のボランティア活動参加が盛んに成っています。
• シニアボランティア
  広い意味で、仕事として現役を引退された方の社会への貢献活動としてシニアボランティアと言う言葉が使われています。現役時代の豊富な経験を世の中の役に立てようと言うのが基本的な主旨。
  経理の経験やパソコンや語学が得意な方が、NPOやNGOの事務局を支えている例は多数有ります。
  途上国の支援活動を行うJICAのシニアボランティアも、高い専門性をいかせる活動として人気です。
• 災害ボランティア
  災害ボランティアと言うと、「国境無き医師団」の国際貢献活動が報道などでも大きく取り上げられて有名です。地震、台風などによる水害、火山の噴火などの自然災害が起こると、私にも「何かできることはないだろうか」といった気持ちがかき立てられます。
  その気持ちに従って行動に移すこと、それが災害ボランティアです。
• 文化・スポーツボランティア
  好きなことや、趣味、特技を生かし、文化やスポーツを支える活動、それが文化・スポーツボランティアです。一般的に、文化や芸術、スポーツなどの活動は、まずは自分に参加し、楽しむことと、聴く・観るなど観客として楽しむという２つの関わり方ができます。
• 社会起業家
  社会の課題に新しい手法で取り組む人たちのことです。 社会起業家とは環境や人権、あるいは福祉、教育など社会や地域の課題に新しい発想で取り組み、ビジネス的手法でその解決にあたる起業家のことです。新しいビジネスモデルが次々と生まれています。
• ボランティアもどき
  災害が発生すると、多くのボランティア団体が被災地に赴いて活発な活動を開始しますが、その中には避難により無人と成った家に入って金品を持ち出すボランティアもどきが出没します。